
今回は、「人材定着」のスペシャリスト、弊社代表の福島へインタビューしていきます。
少々照れながらも「人材定着」に悩む企業へ少しでもヒントになればと種明かししてくれました。

人事コンサルティングや研修事業を展開する株式会社ワダチラボの代表をしております福島知加です。
お仕事としては、人事のお助けマンとして、ほとんどの営業日はクライアント企業や市町村の人事コンサルティングや研修に登壇しています。企業や組織の抱える「人事制度」「人材育成」「組織開発」に関するお困りごとを伴走型で解決するお手伝いをしております。
月に1〜2回程度、沖縄県や商工会議所等でご依頼いただき、まさに今回のテーマについてお話しさせて頂く機会が増えました。プライベートは、うーまくー(わんぱく)息子2人に翻弄され毎日走り回っていますよ。

ー自己紹介ありがとうございます。早速、「人材定着」の種明かしをお願いします。

もう、種明かしするの(笑)かしこまりました!
皆さんは人材が会社に定着し、更に業績もアップし、社員にとってはやりがいを感じてもらえる方法があるとしたら、それはどんな方法だと思いますか。
そんな方法あるはずない!という声が聞こえてきそうですが、実はあります。その鍵を握るのが「従業員エンゲージメント」です。
従業員エンゲージメントとは会社に対する愛着度を表す言葉で、この従業員エンゲージメントが向上すると「会社に貢献したい」という意欲が高まります。
米国ギャラップ社の調査によると、従業員エンゲージメントが高い企業は低い企業に比べて、離職率が65%低く、業績も37%高く、創造力は3倍高いという調査結果が公表されています。会社への定着率だけでなく業績向上にも繋がることから注目され、日本企業においてもエンゲージメント指数の高い企業が低い企業に比べて営業利益率が3倍高いという統計データがでています。
また従業員エンゲージメントを調査する企業はここ5年で増え続け、経済産業省が令和2年9月に公表した人材を資本として考える「人的資本経営」を実現する要素としても従業員エンゲージメントを向上する取組が必要であると明記しています。

ー具体的に従業員エンゲージメントを上げるためにどうすればいいですか。

では、どうやって従業員エンゲージメントを向上していくのか、という方法論の前にまず考えないといけないのは「目的」です。
あくまで従業員エンゲージメントは手段にすぎないので、まずは企業が中長期を見据えた時、どんな人材が集まり育ち、事業がどう成長しているのか、企業としてありたい姿を言語化していきます。
その中で「社員にやりがいを感じてもらいたい」「組織と人材が成長できる会社をつくりたい」「会社やチームに貢献したいと思ってもらいたい」「定着率や業績を向上させたい」という点が入っていたら、次の8つの指標を参考にしてほしいです。
従業員エンゲージメントには
①組織文化(経営理念があり、理念に共感しているか)
②社会的認知(コーポレートブランドや企業価値を自分はもちろん周囲も感じているか)
③仕事(今の仕事をやりがいに感じているか、挑戦を歓迎してもらえる環境か、役割が共有されているか)
④成長(人材育成の仕組みがあるか、中長期を見据えたキャリアパスを描ける仕組みがあるか、適切な承認やフィードバックがあるか)
⑤人間関係(職場での関係性は良好か)
⑥働く環境(労働時間、休日、勤務地)
⑦評価(評価、表彰、賞賛、フィードバック)
⑧報酬(給与、賞与、福利厚生)
の8つの指標から成り立ちます。
従業員エンゲージメント調査やヒアリング調査を通じて現状把握を行った後、ありたい姿を実現するために何を優先的にやるべきなのか施策を検討、実行していきます。

ー導入した企業はどんな効果がありましたか。

エンゲージメント調査を導入した8割以上の企業で「定着率」「人材の成長率」「業績」に大きな効果がでています。
具体的な事例を2つ掲載しておきますので、ぜひ人材定着やエンゲージメント向上の何かヒントにして頂けると嬉しいです。
※人材の成長率の指標は企業によって異なりますがスキルの変化や評価の向上、成長実感を感じた度合いを指標に置いています。
事例❶「評価」項目の向上により人材の成長率が2倍になった事例
「評価」項目が低かった企業様で、人事評価の見直しをはかった結果、人事評価への納得感が向上し「人材の成長率」が2倍、「定着率」「業績(売上)」も 倍向上しました。
具体的な施策としては、人事評価項目を経営者とコンサルタントでつくるのではなく、経営者と管理職全員で評価項目を検討し、より現場に沿った評価項目にした点と管理職層の評価項目に「人材育成」を追加しウエイトをあげることによって、後回しにされがちだった人材育成の優先順位をあげることができました。
そのほか若手人材が相談しやすい雰囲気をつくるための施策も複数実施し、その相乗効果によって人材の成長率が底上げされました。
事例❷「成長」項目の向上により離職率が %削減された事例
「成長」項目は低かった企業様ではキャリアデザイン研修を通して自分の強みと弱み、価値観を言語化し、まずは「自分のできること」を増やすための成長目標を設定しました。
月に1回の管理職との1 on1面談を通じてできることが増えていくことの喜びを感じ、自己肯定感や自己効力感の向上に繋がりました。
中間発表会では「成長実感を感じた」「視野が広がった」というお声も多数いただき「人材の成長率」も1.8倍向上し「離職率」も10%削減しました。

ー最後に

エンゲージメントは英語で「婚約」の意味もあります。
まさに会社と社員も、夫婦関係をイメージすると分かりやすいです。パートナーが自分の為に行動してくれたら嬉しいし、逆に話を聞いてくれなかったり、約束を守ってくれなかったら悲しい。それは会社と社員も一緒です。
お互いこれだけ連れ添っているんだから大丈夫!と安心しすぎず、中長期的にお互い成長し良い関係を構築するための対話と仕組みの必要性を、10年以上この業界に携わる中で深く感じます。
ー自己紹介をお願いします。